バーン(Burn)


【一言でいうと】

バーンとは、仮想通貨の一部を「永久に使えない状態」にして、市場に出回る枚数を減らす仕組みのことです。
たとえるなら、流通している商品券の一部を“意図的に燃やして”希少価値を高めるようなものです。


【基礎解説】

仮想通貨における「バーン(Burn)」とは、意図的に通貨を消滅させる仕組みを指します。技術的には、その通貨を「二度と取り出せない専用アドレス(バーンアドレス)」に送ることで行われます。このアドレスは秘密鍵が存在しないため、誰もアクセスできません。

たとえば、プロジェクトが発行したトークンが市場に多すぎる場合、価値の下落を防ぐために一部をバーンします。これにより、残りのトークンが相対的に希少になり、価値の維持・上昇が期待できます。

実生活でたとえるなら、「お菓子メーカーが市場に出したお菓子を一部回収して処分する」ようなものです。供給量を調整して、商品の価値やブランドを守るわけです。

バーンは一度行われると取り消せません。そのため、供給量の透明性と信頼性を示す手段としても活用されています。


【重要性とメリット/デメリット】

メリット

  • 希少性の向上:供給量を減らすことで、通貨1枚あたりの価値を高めやすい。
  • 投資家への還元:市場価値を維持・上昇させることで、長期保有者の利益を守る効果がある。
  • 経済の安定化:インフレ(通貨の過剰供給)を防ぐ役割を果たす。
  • プロジェクトの信頼性向上:運営側が「自らの利益を削って価値を保とうとしている」と評価される。

デメリット

  • 実際の価値上昇が保証されない:バーンしても、市場需要がなければ価格は上がらない。
  • 不透明な運営リスク:バーンの数量やタイミングが明確でないと、投資家に不信感を与える。
  • 誤送リスク:通常の送金と同じ仕組みを使うため、誤って資金をバーンしてしまうケースもある。
  • 投機的操作の危険性:一時的な価格操作を目的にバーンを利用するプロジェクトも存在。

投資家にとって、バーンは「一見プラスに見えるが、実態を伴わないバーンには注意が必要」な要素です。


【実例・比較】

代表的なバーンの事例

  • バイナンスコイン(BNB)
     世界最大級の取引所バイナンスが、四半期ごとに取引量の一部をもとにBNBを定期バーンしています。これにより、BNBの総供給量は徐々に減少しています。
  • Shiba Inu(SHIB)
     コミュニティ主導で「バーンパーティ」などが行われ、ユーザーが自発的にトークンをバーンして価格維持を試みています。
  • XRP(リップル)
     取引時にごく少量のXRPが手数料として自動的にバーンされる仕組みを採用。スパム取引防止の役割も持ちます。

類似技術との違い

用語目的方法効果
バーン供給量を減らすトークンを送金不能アドレスへ送る希少性向上
ハーフィング報酬を半減新規発行量を段階的に減らす供給ペースを抑制
ロック一時的に使用不可スマートコントラクトなどで凍結売却圧力を一時抑制

バーンは「恒久的な消滅」、ロックは「一時的な制限」という違いがあります。


【技術的背景(上級者向け)】

バーンは、ブロックチェーン上で「送金はできるが、受け取りができないアドレス」を利用して実現されます。

このアドレスは、たとえば以下のような形式を持ちます:

Bitcoin例:1CounterpartyXXXXXXXXXXXXXXXUWLpVr
Ethereum例:0x000000000000000000000000000000000000dead

これらは秘密鍵が存在しない、または誰にも知られていないアドレスです。トークンがここに送られると、ブロックチェーン上には「送金記録」が残りますが、二度と取り出すことはできません。

スマートコントラクトを使う場合、以下のようなコードでバーンを実現できます:

function burn(uint256 amount) public {
    _totalSupply -= amount;
    _balances[msg.sender] -= amount;
    emit Transfer(msg.sender, address(0), amount);
}

ここでaddress(0)は「存在しないアドレス」を意味します。この仕組みにより、供給量(_totalSupply)が減少し、残りの通貨が相対的に希少になります。

また、イーサリアムの「EIP-1559」では、取引手数料の一部が自動的にバーンされる仕組みが導入されています。これにより、イーサリアムは「インフレ通貨」から「デフレ傾向の通貨」に近づきつつあります。


【まとめ】

バーンは、仮想通貨の供給量を意図的に減らすことで、通貨の価値や信頼性を維持する仕組みです。
ただし、価格上昇を保証するものではなく、運営の透明性が重要なポイントです。
初心者は「通貨を燃やして減らす=価値を守るための調整」と覚えておくと良いでしょう。


【関連用語(内部リンク用)】

  1. トークンエコノミー
  2. ハーフィング
  3. インフレ・デフレ
  4. スマートコントラクト
  5. EIP-1559